「信州しおじり本の寺子屋」の永江朗さんによる講演会の報告です。
講演会「筑摩書房の歴史と古田晁」
「筑摩書房 それからの四十年」などの著者であり、フリーライターとして活躍されている永江朗さんをお迎えし講演会を開催します。
塩尻市北小野地区出身の古田晁氏が創立した、筑摩書房の創業期から現在に至るまでのエピソードや、古田晁という人物の人柄とその精神についてお話しいただきます。
日時
2015年10月4日(日曜日)13時30分から15時30分
場所
塩尻市市民交流センター(えんぱーく)3階・多目的ホール
講師
永江朗さん
1958年生まれ。北海道旭川市出身。書籍輸入販売会社勤務、雑誌編集者を経て、フリーライター。書評、インタビュー、エッセイ、批評などを書く。日本文藝家協会理事、国立国会図書館納本制度審議会委員。2008年~2013年、早稲田大学文化構想学部教授。主な著書に『菊地君の本屋 ヴィレッジヴァンガード物語』『インタビュー術!』『批評の事情』『筑摩書房 それからの四十年』『本を味方につける本』『広辞苑の中の掘り出し日本語』『おじさんの哲学』『誰がタブーをつくるのか』『これから本の授業をはじめます』『「本が売れない」というけれど』『茶室がほしい。』『そうだ、京都に住もう。』ほか。
当日の様子
永江さんが「不思議な人」と評する古田氏の人柄について、筑摩書房の経営手法や臼井吉見、太宰治などとのエピソードからひも解いていただきました。
古田氏は自分について多くを語らず、出版社を経営しながら本好きではなかった、また、作家を作品ではなく人柄で評価したなど、謎な点が多い人物といいます。
ビジネスが得意ではなかった古田氏が多くの作家から慕われ、すぐれた本を多く世に出すことができたのは、古田氏の出版人としての情熱によるところが大きいと考え、これからの出版はこの教訓を生かし、本の力を信じて「もうからないビジネス」に取り組んでもいいかもしれないと締めくくられました。