「信州しおじり本の寺子屋」の星野渉さんによる講演会の報告です。

講演会「本の世界で起きている大きな変化と図書館と書店にできること」

新聞、広告、放送、電子メディア、出版といったマスコミ業界の情報を扱う専門紙「文化通信」などを発行する、株式会社文化通信社編集長の星野渉さんをお招きして講演会を開催します。出版産業の仕組みと現状、図書館との関係などについてお話しいただきます。

日時

2015年12月6日(日曜日)13時30分から15時30分

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく)3階・多目的ホール

講師

星野渉さん

1964年東京生まれ、國學院大學文学部日本文学科卒。株式会社文化通信社常務取締役編集長。日本出版学会理事・事務局長、NPO法人本の学校副理事長、東洋大学非常勤講師。1989年から専門紙「文化通信」記者として出版流通、再販制度問題、電子出版、流通EDIなど、出版産業の変化を取材してきた。
著書に『出版産業の変貌を追う』(青弓社)、共著に『オンライン書店の可能性を探る―書籍流通はどう変わるか』(日本エディタースクール出版部)、『出版メディア入門』(日本評論社)、『読書と図書館』(青弓社)、『電子書籍と出版』(ポット出版)など。

当日の様子

星野渉さん1

星野さんは、現在と過去、日本と外国との比較を織り交ぜながら、出版業界の仕組みについて説明された上で、これまでの出版業界は、雑誌販売の利益が業界を支えていたが、数年前から雑誌の販売の落ち込みが激しく、取次会社や書店を苦しめていると指摘。販売減少の主な要因は、スマートフォンの普及によるものが大きいと考えており、ゲームやSNSなどに割く時間が増えたためと考えていました。

これに加え、ネット販売業者などが多く利用されるようになった今、もはや小さな書店は単に本を売るだけでは経営が成り立たない。B&Bをはじめとする、付加価値をつけた販売手法の例を挙げつつ、これからは本プラスアルファの要素をつけて事業を展開する必要があると言及されました。また、図書館は、図書の購入という形で出版業界を支えるとともに、読者を増やすための環境整備など推進してほしい、また図書館と書店がひとつになり出版業界を盛り上げていくべき、と呼びかけられました。
ご参加くださった皆さま、そして、お忙しい中講演いただいた星野さま、本当にありがとうございました。

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