「信州しおじり本の寺子屋」の、松井祐輔氏、西田卓司氏による対談について報告しています。
対談「本とまちづくり~本のある環境の作りかた~」
松井祐輔氏と西田卓司氏が、本とまちづくりの関係をテーマに対談します。
日時
2014年7月20日(日曜日)13時30分から15時30分
場所
塩尻市民交流センター(えんぱーく)3階・多目的ホール
講師
松井祐輔氏
1984年生まれ。愛知県春日井市出身。大学卒業後、出版取次に就職。仕入部門に配属後、人事、経営部門を担当。2013年退職。2014年3月、ファンから参加者になるための、「人」と「本屋」のインタビュー誌『HAB』を創刊。同年4月、本屋「小屋BOOKS」を東京虎ノ門にあるコミュニティスペース「リトルトーキョー」内にオープン。
西田卓司氏
1974年生まれ、千葉県袖ケ浦市出身。新潟大学農学部在学中の1999年に、「まきどき村」を発足、現在も毎週日曜日に農作業の後、囲炉裏を囲んで朝食を食べる「人生最高の朝ごはん」を実施している。2002年に、NPO法人ヒーローズファームを設立。世代間交流事業や地域企業でのインターン事業などを行う。同時期からサンクチュアリ出版の地方書店営業を始める。2011年3月にジブン発掘本屋 ツルハシブックス」を開業。「劇場のような本屋、本屋のような劇場」をテーマに店づくりを行っている。
当日の概要

講演1・松井さん
まちの小さな本屋がなくなっていく現状を改善するためには、読者は単なる「ファン」ではなく、一歩踏み出して「当事者」となることが必要である。この考えのもと雑誌『HAB』の創刊や、2坪ほどの小さな本屋「小屋BOOKS」の開業など、「本の当事者」を増やすための試みを続けている。
「本とまちづくり」について考えるとき、「まち」全体を対象とすると規模が大きすぎて多様性に対応できない。「まち」は個人と個人のつながりの総和であり、一人一人に一対一で向きあうことで結果としてまちづくりにつながるような本屋を目指している。
講演2・西田さん
中高生にこそコミュニティのつながりが必要であると考えから、「ツルハシブックス」では中高生を主なターゲットにしている。店員と客という関係ではなく、本屋を舞台にコミュニティをつくる試みをしている。
本屋はただ本を売るだけではなく、本を通してまちの未来をつくることができる仕事である。

対談
本を売って生計を立てるというのは大変だが、本屋を本業ではなく副業としてやっても良い。本屋をやること自体ではなく「本のある空間」を維持することが目的ならば、必ずしも本業でやる必要はないのではないか。
本は読んでみないと価値がわからないため効率の悪い商品といえるが、流通のシステムだけが非常に効率化されており違和感がある。一方コミュニケーションの道具としては本は非常になじみやすい。従来の形態のビジネスではなく、本を通して人と人とのつながりが生まれるような活動をしていきたい。

