「信州しおじり本の寺子屋」の上野千鶴子さんによる講演会の報告です。
講演会「活字中毒、書物の未来」
『おひとりさまの老後』などの著者で、社会学者である上野千鶴子さんをお迎えし講演会を開催します。
これまで読まれた本などを通して、社会学者となったきっかけや、これからの本の可能性についてお話しいただきます。
日時
2015年7月5日(日曜日)13時30分から15時30分
場所
塩尻市市民交流センター(えんぱーく)3階・多目的ホール
講師
上野千鶴子さん
社会学者・立命館大学特別招聘教授・東京大学名誉教授・認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長。
1948年富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了、平安女学院短期大学助教授、シカゴ大学人類学部客員研究員、京都精華大学助教授、国際日本文化研究センター客員助教授、ボン大学客員教授、コロンビア大学客員教授、メキシコ大学院大学客員教授等を経る。専門は女性学、ジェンダー研究。この分野のパイオニアであり、指導的な理論家のひとり。高齢者の介護問題にも関わるなど幅広く活躍している。
1994年、『近代家族の成立と終焉』(岩波書店)にてサントリー学芸賞を受賞。ほかに『おひとりさまの老後』(法研)、『男おひとりさま道』(法研)、近刊に『何を怖れる』(岩波書店・共著)、『老い方上手』(WAVE出版・共著)など多数。
最新刊『ケアのカリスマたち』(亜紀書房)が2015年3月に発売。
当日の様子
電子メディアの登場以来、文字情報に音声や動画などが加わり情報量は格段に増えました。しかし上野さんは、Twitterの隆盛に見えるように、既に情報量が多いことが価値が高いとされる時代ではなくなったと分析されています。
余分なものをそぎ落とした後に最後に残るのは言葉で、電子化されたとしても言葉や文字の力が無くなるわけではなく、紙の本はこれからは伝統工芸品として生き残っていくだろうとの見解を示されました。
上野さん自身は活字を印刷メディアで読むことが身体化されている世代であり、紙の本を愛する一方、書き手として一人でも多くの人にメッセージを届けるために電子メディアを活用することについても触れて講演をまとめられました。
会場では塩尻書店組合の協力により上野さんの著書が販売され、講演会終了後にはサイン会を行いました。
ご参加くださった皆様、ありがとうございました。