「信州しおじり本の寺子屋」の高橋源一郎氏、島田雅彦氏による対談の報告をしています。

対談「小説の行方」

作家の高橋源一郎氏と島田雅彦氏が「本の行方」と題して対談します。

日時

2014年5月25日(日曜日)13時30分から15時30分

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく)3階・多目的ホール

講師

高橋源一郎氏

1951年広島県尾道市に生まれる。作家。明治学院大学国際学部教授。1981年、『さようなら、ギャングたち』でデビュー、「群像」新人長編小説賞受賞。88年、『優雅で感傷的な日本野球』で三島由紀夫賞受賞。2002年、『日本文学盛衰史』で伊藤整文学賞受賞。12年、『さよならクリストファー・ロビン』で谷崎潤一郎賞を受賞。他に『官能小説家』『君が代は千代に八千代に』など多数。

島田雅彦氏

1961年東京都に生まれる。作家。法政大学国際文化学部教授。83年東京外国語大学外国語学部ロシア語学科在学中に、『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー。92年、『彼岸先生』で泉鏡花文学賞を受賞。2006年、『退廃姉妹』で伊藤整文学賞を受賞。08年、『カオスの娘』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。他に『僕は模造人間』『自由死刑』『悪貨』『ニッチを探して』など多数。

対談の概要

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対談では、河出書房新社から池澤夏樹さんの個人編集による『日本文学全集』が刊行されることを題材に、小説の行方についてお二人が意見を交わしました。

〈概要〉
高度経済成長期に多くの家庭にあった「文学全集」は読むものというよりインテリアとしての要素が大きかったが、古典文化といった教養をアーカイブして普及させるという意義もあった。アーカイブという面だけとらえると紙の本より電子書籍の方が向いているともいえるが、教養のように記憶に残らないといけないものは電子にはなじまない。
いま電子上で大量に消費されている言葉は「早い、狭い、短い」のが特徴で、シンプルな言葉で世界を単純化する傾向にある。一方、わかりにくさやねじれの極致が文学で、単純化された世界が「独裁」だとすると、ねじれた世界は「民主主義」であるといえる。世界全体が単純化への道をひた走っている中で、我々小説家は抵抗していきたい。文学全集はその手段となるだろう。

サイン会

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講師サイン

当日は塩尻書店組合によるお二人の著書の販売があり、購入された方を対象にサイン会が開かれました。塩尻市立図書館にもお二人から素敵なサイン色紙をいただきました。

高橋さん「もっと本(ことば)を!!」(右)、島田さん「ハジメニコトバアリキ」(左)

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