告知内容

 東京で出版社「哲学書房」を創業した、塩尻市宗賀地区出身の出版人・中野幹隆さんをご存じですか。塩尻市立図書館では、このたび、中野さんの功績を振り返る講演会を開催します。講師は、有限会社月曜社取締役の小林浩さんです。

  • 講師からのメッセージ
     20世紀後半の現代思想ブームにおいて先端的な役割を果たした編集者・中野幹隆(塩尻市大字宗賀出身)の業績を振り返り、中野が興した哲学書房の出版物の魅力について紹介します。出版界の変化についてもお話しします。

講演概要

 8月19日(土)、有限会社月曜社取締役の小林浩さんを迎え、塩尻市宗賀洗馬出身で哲学書房という出版社を立ち上げた中野幹隆さんについての講演会を開催しました。

 2人の出会いは、小林さんが大学生の頃。哲学書房の中野さん宛てにファンレターを書き、中野さんから返事をいただいたことがきっかけだそうです。小林さんはその後、出版社での編集や営業の仕事を経て、哲学書房の編集部社員として中野さんと一緒に働きました。

 中野さんを知るためには、まず編集者という仕事を理解する必要があります。
 講演ではまず、編集者の仕事について「人にあまり理解されていないが、本を作るうえで一番創造的な作業が必要なポジション」と説明。中野さんは人一倍こだわりが強く、文章の段組みや、紙の材質など細部にわたり気を使い「文章だけでなく視覚も刺激することが重要」とおそろかにしなかったそうです。

 哲学の本だから哲学者に聞けばいいという平凡な発想は全くなく、解剖学者の養老孟司と、詩人で評論家の吉本隆明を組み合わせるなど、文系・理系問わず全く違う分野の人をマッチングする、その術は抜群だったそうです。

 ルールや敷かれたレールは歩かない人柄で、その柔軟な発想力や企画力から、1980年代に早くも人工知能AIや電子書籍を取り上げるなど、その先見性についてもご紹介いただきました。

 最後に、出版界の変遷やTSUTAYA図書館、ひとり出版社の出現など、現在の出版に関する現状についてもお話いただきました。

 地元から素晴らしい編集者・出版人が誕生していたことを誇らしくも思い、またその魅力を知ることができて、スタッフも大変勉強になりました。

 ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。

日時

2017年8月19日(日曜日)13時30分から15時30分
場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく)3階・多目的ホール

講師紹介

小林浩さん(有限会社月曜社取締役)

 1968年東京生まれ。
 1992年早稲田大学第一文学部人文専修卒業。
 2000年より有限会社月曜社取締役。
 父方の実家は諏訪郡富士見町。

講演写真

小林浩さん1
小林浩さん2
小林浩さん3

ポスター

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