告知内容

 塩尻市北小野地区出身で、出版社「筑摩書房」を創業した古田晁氏を紹介する講演会です。元筑摩書房編集者で、現在は作家・歌人・翻訳家として活躍中の持田鋼一郎さんをお招きし、出版人としての古田晁と筑摩書房の魅力に迫ります。

講演概要

 10月22日(日)、塩尻市出身で筑摩書房を創立された古田晁さんの人柄や生き様を振り返る「古田晁記念館文学サロン」を開催しました。ゲストは元筑摩書房社員で現在は、紀行・伝記作家、歌人、翻訳家として活躍されている持田鋼一郎さん。

 持田さんは冒頭で、筑摩書房に入社した当初を振り返りました。当時社長だった古田氏と専務の竹ノ内氏は大酒飲みで、社員の半分お酒飲みで半分は共産党だったので、どっちと仲良くするかと言われれば酒飲みのほうだった、と笑いながらお話しくださいました。

 持田さんが古田晁と接した8年間のエピソードをたくさん教えていただきましたが、古田氏が一番親しく付き合った作家として取り上げられたのは、やはり太宰治でした。

 二人の出会いは偶然隣り合わせた飲み屋でのこと。すぐに意気投合し、間もなく筑摩書房から太宰の随筆集を出すこととなりました。しかし、当時まだ人気作家とは程遠かった太宰の評価は低く、編集会議に通せば出版されないことを分かってか、古田氏は編集会議を通さずに、こっそり出してしまったとのこと。こうした編集者の見る目なのか、縁なのか、そういった偶然が重なって世に名を残す人が生まれるのだなあ、とお話されました。

 その他、上林暁、中野重治、臼井吉見などとのエピソードの他、酒場の女性との話、また、半分は酒場で拾ってきたという筑摩書房の個性的な社員の話など、おもしろいお話を聞かせていただきました。

 古田晁の人柄や人間関係、決して表には出ない編集人としての一面や、古田氏が作った昭和の古き良き時代の筑摩書房の社風を感じることができました。

 会場では持田さんの著書の販売があり、講演後にはサイン会も行いました。持田さん、ご参加くださった皆さま、誠にありがとうございました。

日時

2017年10月22日(日曜日)13時30分から15時30分

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく)3階・多目的ホール

講師紹介

持田鋼一郎(もちだ こういちろう)さん(歌人・作家・翻訳家)

1942年東京生まれ。1965年早稲田大学政経学部卒業。筑摩書房勤務を経て、現在は、紀行・伝記作家、歌人、翻訳家として様々な作品を執筆している。主な著書に、『エステルゴムの春風―東欧の街と人』『高島易断を創った男』、(共に新潮社)『ユダヤの民と約束の土地―イスラエル感傷紀行』(河出書房新社)、訳書に『夢の終わり』(みすず書房)など。

講演写真

持田鋼一郎さん1
持田鋼一郎さん2

ポスター

69cb3292eecc65bc16237f51df87e11b