告知内容
2017年8月に公開された映画『関ケ原』などの監督を勤める、原田眞人さんの講演会のお知らせです。
司馬遼太郎の原作『関ケ原』に対する想いや、映画製作の裏舞台などお話しいただきます。今回の講演会は、塩尻市唯一の映画館『東座』との共同企画です。東座の館主・合木さんのコーディネートにより実現しました。
講演概要
11月26日（日）、映画監督の原田眞人さんをお迎えし、今年8月に上映された映画『関ケ原』の制作秘話や、原作に対する思い、映画製作にかける思いをお聞きしました。
今回の企画は、塩尻市唯一の映画館「東座」とのタイアップ企画として開催したものです。実は、当初は東座にて『関ヶ原』の上映を、と考えてスタートしていましたが、上映には最新の音響設備が必要だったため、残念ながら東座での上映は断念することに。まだご覧になっていない皆様、2018年2月ころにDVDが発売される予定ですので、ぜひご覧ください。
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今夏上映された映画『関ヶ原』の原作は1966年の司馬遼太郎作品。高校生のときに読んだものの、当時は戦いの終盤に逃げた石田三成が気に入らなかったそうです。その後、時が経ち、今の世の中に必要なのが石田のようなぶれない理論性だと感じるようになり、25年くらい前から映画化構想がスタート、ようやくこのタイミングで映画化することができたそうです。
原作は、上・中・下巻ある3部作。これを映画化するのは無理だろうとも思っていたそうです。当初は2部作でやる予定だったが、制作側から1本で2時間29分で納めてくれと言われ、「ダイジェストにならないように」、「戦いに参加しない人は脇役に徹してもらう」、「東のエピソードは一切ださない」など工夫した末の完成となったとのことでした。
こだわったのは、戦場のリアリティー。作品への評価として「会話が早すぎたり、方言が聞き取れない」などの批判もあるが、必要なのは臨場感。言葉が聞き取れるような作品では、怒りや焦りが伝わらないとし、言葉ではなく映像で感じることこそが、映画による表現方法の1つであり、楽しみ方であると言及されました。
監督は冒頭で、「赤い河」のハワード・ホークス、黒澤明監督に影響を与えたとされるジョン・フォード、「エデンの東」のエリア・カザンなどの監督の名を挙げ、自分には9人の映画の神様がいると語られました。『関ヶ原』は、黒澤明でも映画化できなかったとし、そんな作品を作れたことは大変うれしく、映画の神様にも誇れる作品となった、と締めくくられました。
講演を聴いて、原作を映画化するには、様々な工夫が必要と感じました。たとえばキャスト。どんなにダメな主人公でも、容姿端麗な俳優を使う必要があります。当然予算もそうですし、時間にも限りがあります。原作に対し、監督が様々なエッセンスを加えることで、映画は完成するものだと改めて知ることができましたし、様々な制約や監督のセンスにより、原作も大きく形を変えるものなのだと改めて感じる講演となりました。
普段、小説しか読まない人、映画しか観ない人も、試しに両方の作品をご覧になってはいかがでしょうか。きっと違った魅力を感じられると思います。
原田監督、映画館「東座」館主の合木さま、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
日時
2017年11月26日（日）13時30分から15時30分
場所
塩尻市市民交流センター（えんぱーく）3階・多目的ホール
講師紹介
原田眞人さん（映画監督・脚本家）
映画監督、脚本家。1949年、静岡県沼津市生まれ。黒澤明、ハワード・ホークスといった巨匠を師と仰ぐ。1979年、自身のオリジナル脚本を映画化した『さらば映画の友よ』で監督デビュー。『KAMIKAZE TAXI』（1995）は、フランス・ヴァレンシエンヌ冒険映画祭で准グランプリ及び監督賞を受賞。社会派エンターテイメントの『金融腐食列島 呪縛』(1999)、『クライマーズ・ハイ』(2007)から, モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞した『わが母の記』(2012)や、モンテカルロTV映画祭最優秀監督賞、国際エミー賞の最終候補となった『初秋』(2012)など小津安二郎作品に深く影響された家族ドラマまで、作品の幅は広い。『ラストサムライ』(2003)で、俳優としてハリウッドデビュー。初時代劇「駆込み女と駆出し男」と初の戦争映画「日本のいちばん長い日」は2015年度作品。2017年夏には25年間企画を暖めて来た大作「関ヶ原」が公開され、その宣伝キャンペーンを縫ってクライム・スリラー「検察側の罪人」（2018年夏公開）を撮影した。海外での講演活動も多く、作品は常に世界を視野に見据えている。「関ヶ原」の大ヒットにより、「念願の企画」が次々と映画化されそうだ。
講演写真
ポスター
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