8月6日(木)、青山学院大学コミュニティ人間科学部教授の野口武悟さんの講演会(学校職員向け講座)を開催しました。
講演では、主に学校図書館を想定し、子どもから大人まで、誰もが読書を楽しめる環境づくりについてお話しいただきました。
講演概要
はじめに、国の「第5次子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」において、読書バリアフリーが重要な柱の一つに位置づけられていることが紹介されました。また、高校生や大人の不読率にも触れ、子どもに読書をすすめるためには、まず大人が読書をする姿を見せることも大切だと述べられました。スマートフォンなどの情報機器の利用、仕事や勉強の忙しさ、視力などの健康上の問題も、読書から遠ざかる要因として挙げられました。
さらに、誰もが年齢や生活環境、身体的な変化などによって「文字が読みづらい」状況になる可能性があり、一人ひとりに合った方法で読書を続けられる環境を整えることが重要だと説明されました。ディスレクシアや境界知能、外国にルーツを持つ子どもなど、読みづらさにはさまざまな背景があります。そこで、多様な読書機会を確保するため、リーディングトラッカー、大活字本、音声資料、マルチメディア・デイジー図書、「やさしい日本語」や多言語資料などが紹介されました。
具体的な取り組みとして、地域の図書館から資料を借りる、手作りのリーディングトラッカーを活用する、「りんごの棚」を設置するなど、費用をかけずに始められる工夫も示されました。ICTの活用や館内環境への配慮、公共図書館や福祉関係機関や書店などとの連携も含め、読書バリアフリーは特別な人のためだけのものではなく、すべての人が利用しやすい図書館をつくるための取り組みであることが強調されました。
最後に図書館は成長する有機体なので、時代やニーズに合わせて図書館は進化していくものであると締めくくられました。
日時
2026年8月6日(木) 14:00~16:00
場所
塩尻市市民交流センター(えんぱーく) 多目的ホール
講師
野口武悟(のぐち たけのり)さん
栃木県生まれ。筑波大学大学院博士課程修了、博士(図書館情報学)。専修大学文学部教授を経て、2026年より青山学院大学コミュニティ人間科学部教授。専門は図書館情報学(読書バリアフリー、子どもの読書活動、電子図書館)。現在、放送大学客員教授、公益社団法人全国学校図書館協議会理事長、立川市図書館協議会会長、八王子市生涯学習審議会副会長、横浜市社会教育委員なども務める。主な著書に、『LLブックをすすめる:知的障害・読書に困難がある人たちの豊かな読書環境をめざして』(共著、樹村房、2026年)、『誰ひとり取り残さない図書館サービス:多様なニーズに寄りそう8つの事例』(単著、三和書籍、2025年)、『学校の「読書バリアフリー」はじめの一歩:学校図書館10の事例』(編著、学事出版、2024年)などがある。


