「信州しおじり本の寺子屋」事業の、池内紀さんの講演会の報告をしています。

講演会「本が友だち」

ゲーテやカフカの翻訳で知られ、旅に関するエッセイなども多数執筆されている池内紀さんの講演会を開催します。池内さんにとって本とはどんな「友だち」なのか、著書の制作秘話なども交えながらお話しいただきます。ぜひご参加ください。

日時

2014年2月23日(日曜日)13時30分から15時30分

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく)3階・多目的ホール

講師

池内紀さん

1940年、兵庫県姫路市生まれ。ドイツ文学者、エッセイスト。主な著訳書:『海山のあいだ』(中公文庫・講談社エッセイ賞)『見知らぬオトカム―辻まことの肖像』(みすず書房)『恩地孝四郎―一つの伝記』(幻戯書房・読売文学賞)ゲーテ『ファウスト』(集英社文庫・毎日出版文化賞)ほか。

講演会の様子

池内紀さん1
池内紀さん2

まだ大雪の影響が残る講演会当日、市内外から約70名の方が参加されました。

池内さんにとって、本を読むことは食べることと同じ価値があり、読むことは「本能」であると話されました。本があったからこそ今の池内さんがあり、高校時代まで本は心の「避難所」のような存在だったそうです。
子どもの時に冒険小説に夢中になり、本の世界にいる間は家の貧しさによる辛いことを忘れられたこと、高校では数学が苦手で落第寸前のとき石川啄木の本と出合い、自分の生きる世界に価値を見出すことができたことなど、「本が友だち」となるきっかけとなったエピソードを話されました。
また、本と自分をつないでくれた先生の存在が大きかったことや、多感な時期に受けた言語体験が現在の池内さんの文章に影響していることを振り返られました。

池内さんの考える「本」は、テレビなどに比べて「静かなメディア」であること、本の価値は読む人によって違うため定価のある「商品」というシステムになじまないのでは、ということなども指摘されました。

池内紀さん3
池内紀さんサイン

会場の外では塩尻書店組合のご協力により池内さんの著書の販売が行われました。また、講演会終了後にはサイン会が行われ、一人ひとりにイラスト入りで丁寧にサインをしてくださいました。

図書館にも素敵なサイン色紙をいただきました!

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