2月8日(日)紙上健吾さん「読むだけじゃない!読書は“伝える”ことも面白い」(報告)
日時:2月8日(日)14:00~16:00(開場13:30)
場所: 塩尻市市民交流センター(えんぱーく) 3階 多目的ホール
開催報告
2月6日(日)、SNSで小説の紹介動画を投稿している動画クリエイター・紙上健吾さんをお招きし、講演会を開催しました。
健吾さんご自身の経歴や、読書をするようになったきっかけ、参加者に伝えたいことなどを分かりやすくお話しくださり、あっという間の2時間でした。
————〈講演概要〉————
1998年に福岡で生まれ、今年で28歳になる健吾さん。小学3年生から大学4年生の秋まで野球一筋で生きており、当時は「自分は上の世界でも通用する」と信じて疑わなかったそうだ。しかし、高校で対戦相手の圧倒的な才能と遭遇し、挫折を経験する。
大学生になり、野球以外に好きになれる『趣味』を探し始めた健吾さん。当時悩みの種になったのはお金がなかったことだった。映画を趣味にすることも考えたが、チケットや映画館までの交通費などを考えると簡単に趣味にできるものではなかった。そこで立てた仮説が「読書なら少ない金額で長く楽しめるのでは?」というものだった。初めて書店に赴き、世の中にはこんなに本があるのかと感動し、最初に選んだ一冊が東野圭吾さんの『白夜行』。本を読んだことがない自分でも名前だけは知っていた東野圭吾という作家。そして800ページという分厚さ。これなら長時間楽しめると感じ、実際読むのに1か月かかった。そしてものすごく面白かった。読書はコスパ最高であり、「小説ってこんな世界があるんだ」と、それ以上の価値を見つけることができた。そこから面白い本で検索して出てきた宮部みゆきさんの『火車』、伊坂幸太郎さんの『ゴールデンスランバー』など、いつの間にかたくさんの本を読み漁っていたそうだ。
その後、2020年コロナ禍での就職活動。時間がたっぷりある中で、自身でもクリエイティブな仕事を行い、映像編集などを行っていた健吾さんは、映像編集をする中で「自分の方が面白いのでは?」と思い立ち、気づけば紹介する側になっていた。
健吾さんがなぜ本を紹介するのか。それは早く本の魅力に気づいてほしいからだと言う。例えば自分は10代の頃ブラックコーヒーが苦くて飲めなかったが、今は大好きだそうだ。若い頃に経験していたからこそ、大人になったときの『変化』を楽しめる。昔「分からない」と思った本も色々な人生経験を経て、改めて読めば感想が変わることもある。この変化を楽しめるのは読書を積み重ねてきた人だけ。もし自分が中学・高校のときにあの本を読んでいたら?思春期にしか感じられない感情で本を楽しんでおきたかった。これはもう確かめることのできない後悔だ。自分が過去に戻ることはできないが、今の中高生に『今本を読むことの価値』を伝えることはできる。現在10代のみんなは今しかない感性を思う存分に使った読書体験を重ねて欲しい。と仰っていた。
また、よく聞かれるという「時間が無くて本が読めない」という質問に対して、最大の敵はスマートフォン。まずは本を「読もう」とするのではなく本に「さわる」瞬間を増やすことが大切。物理的なアクセスとして本に触ることを増やせば、自然と読み始める。枕元に本を置く、通学・通勤鞄の中に本を入れて置く、そういった環境を変えることで本を読めるようになるそうだ。
さらに読書の魅力は「遅さ」にあると語り、ショート動画や倍速視聴など、現代のスピードはとても速く、生き急いではいないか?と感じてしまう。動画は受動的で倍速も可能なのに対し、読書は能動的で自分のペースで読み進めていく。一冊に5時間、10時間かけて本を読む。心の奥底まで残るような感動にはある程度の時間が必要、その「遅さ」が贅沢だ。遅いから深く人の心に届くのではないかと述べた。
最後に、今回の講演会のまとめとして、参加してくれた10代に伝えたいことは
・変化を楽しむために、今読む
・スマホを置いて、本を触る
・あえて「遅い時間」を楽しむ
ということ。今から本を読むことを楽しんでほしいとまとめた。
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今回の質疑応答では参加者から様々な質問があがりました。それに対し、ひとつひとつ丁寧に回答してくださった健吾さん。普段の動画とは違う一面を見ることができる貴重な機会でした。
紙上さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。


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