「信州しおじり本の寺子屋」の山口泉さんによる講演会の報告です。

「ポスト・フクシマと『沖縄革命』-新著『辺野古の弁証法』を機軸に-」

長野県出身の作家、山口泉さんの講演会を開催しました。

日時

2016年6月19日(日曜日)13時30分から15時30分

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく)3階・多目的ホール

講師

山口泉さん

作家。1955年、長野県生まれ。東京藝術大学美術学部在学中、21歳で中篇小説『夜よ天使を受胎せよ』により、第13回太宰治賞優秀作を得て文筆活動に。小説と評論を通じ、現代世界における「自由」と「平等」を一貫して追求する営為は、最晩年の埴谷雄高氏から「戦後文学のすべてを成し遂げ、さらに未来へ進む」と評された。「小諸・藤村文学賞」選考委員。SHANTI(絵本を通して平和を考える会)アドヴァイザー。同志社大学メディア・コミュニケーション研究センター嘱託研究員。日本文藝家協会会員。日本ペンクラブ会員。著書『吹雪の星の子どもたち』『旅する人びとの国』『星屑のオペラ』『アジア、冬物語』『「新しい中世」がやってきた!』『テレビと戦う』『原子野のバッハ』等、多数。長田洋一氏の担当では、河出書房新社から『世の終わりのための五重奏』『悲惨鑑賞団』『オーロラ交響曲の冬』『ホテル・アウシュヴィッツ』『永遠の春』『神聖家族』『宮澤賢治伝説』の7著を上梓。2013年春、東京から沖縄市に移住。以後は沖縄県民として、日本政府の圧制に抵抗する闘いに参加。最新刊『辺野古の弁証法―ポスト・フクシマと「沖縄革命」』は、そのかんの経験と思考の結晶でもある。ウェブサイト『魂の連邦共和国へむけて』。ブログ『精神の戒厳令下に』。ツイッターアカウントは「山口泉(反戦・反核・基本的人権)」。

講演概要

 新著『辺野古の弁証法』の内容に加えて、福島の原発事故から現在の沖縄の現状についてご講演いただきました。

 最初に、今年3月に沖縄県うるま市に住む女性が元米兵に殺害された事件の被害者の女性を悼んで、20秒ほど黙とうを行い、講演がスタートしました。

 第1部では、東京電力・福島第一原発事故をテーマに、日本の報道の現状を海外メディアの取り上げ方と比較して、考える時間となりました。日本では報道されない事実がたくさんある事を教えて頂きました。
第2部では、沖縄の基地問題や反対集会の様子を、写真を交えてお話いただきました。絶えず米軍の飛行機が頭上を飛び、実弾での銃撃訓練がすぐそばで行われている現状。普段何気なく買い物をしている商品の中にも、どこかの国の軍事支援の資金になっている実情も知りました。
山口さんは、沖縄に基地を作ることは、戦争の標的になるようなものだ、と訴え、沖縄の自然を守ることは、そこに生きている人々の生活を守ることにつながる、とおっしゃいました。
折しも、6月19日は沖縄で、米軍属女性暴行殺人事件に抗議し、被害者を追悼する「沖縄県民大会」が行われた当日でした。参加者は6万5000人ほどで、丁度塩尻市の人口と同じくらいです。私たちも、本土に生きるものとして、正しい情報を得て、政府や国がやろうとしている事に関心を持って見ていくことが必要だと、感じました。

 当日は塩尻書店組合の協力により山口さんの著書の販売が行われ、サイン会も開催しました。ご参加くださった皆さま、長時間お付き合いいただき、ありがとうございました。

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