8月30日(日)に(一財)日本地図センター客員研究員の今尾恵介さんをお招きして講演会を開催しました。
講演概要
はじめに、長野県にある「読書」と書いて「よみかき」と読む珍しい地名が紹介され、これが地名研究のきっかけになったと述べられました。
長野県については、「信濃」の由来にいくつかの説があることが語られました。県内に多い「科」のつく地名(埴科・更科・明科など)は、階段状の地形を表す言葉として使われたのではないかとされ、この「科」の字が「信濃」の由来の一つとして紹介されました。
塩尻市については、中央線の駅が集落から離れた場所に作られた理由が語られました。実際には急な坂道が続く区間で駅を作れず、坂がゆるやかな場所が選ばれたのだと説明されました。また、塩嶺トンネルが地盤の弱さから当初遠回りするルートで作られ、のちに直線化されて所要時間が大きく短縮された経緯や、「北塩尻」という駅名が既存の塩尻駅との重複を避けて名づけられた例も紹介されました。
岡谷市では製糸産業が栄え村から一気に市になった歴史、茅野市ではひらがなの市名が選ばれた理由も語られました。さらに、原村の大字のない珍しい住所の形や、伊那市で昔の呼び名を正式な住所として復活させた取り組みも紹介されました。
最後に、地名には場所を示す「実用品」としての役割と、土地の歴史を伝える「無形文化財」としての役割があり、両方を満たすのは難しいと仰られました。
質疑応答では、アイヌ語地名の分布、京都独特の住所の表し方、川の名前が場所によって変わる理由についてなど、丁寧な説明がなされました。
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地名にまつわるユーモラスなエピソードも数多く紹介され、会場では笑いが起こるなど、参加者が終始楽しそうに聴講されている様子がうかがえました。
今尾さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
日時
2026年8月30日(日) 14:00~16:00
場所
塩尻市市民交流センター(えんぱーく) 多目的ホール
講師
今尾 恵介(いまお けいすけ)さん
1959年生まれ。横浜市出身。明治大学文学部ドイツ文学専攻中退後、出版社勤務を経て1991年よりフリーライターとして地図・地名・鉄道の分野で執筆活動を始める。著書に『地図の遊び方』(けやき出版)、『住所と地名の大研究』(新潮社)、『地名崩壊』『地名散歩』(いずれも角川新書)、『地図バカ』(中公新書ラクレ)、『地名の魔力』(PHP研究所)など多数。2020年に日本地理学会賞(社会貢献部門)、2026年に国土交通大臣より「交通文化賞」をそれぞれ受賞した。現在(一財)日本地図センター客員研究員、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査、日野市町名地番整理審議会会長。



