「信州しおじり本の寺子屋」の水原紫苑さんによる講演会の報告をしています。

講演会「子どもの頃読んだ本~源氏物語と罪と罰」

歌集『びあんか』などの著者、歌人の水原紫苑さんによる講演会を開催します。
当日は、著書の販売やサイン会も予定していますので、ぜひご参加ください。

日時

2016年5月21日(土曜日)13時30分から15時30分

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく)4階・401A・B会議室

講師

水原紫苑さん

1959年横浜生まれ。早稲田大学仏文修士課程修了。春日井建に師事。歌集『びあんか』で現代歌人協会賞。『客人(まらうど)』で駿河梅花文学大賞。『あかるたへ』で若山牧水賞、山本健吉文学賞。最新歌集は『光儀(すがた)』。評論に『桜は本当に美しいのか』、小説に『あくがれーわが和泉式部』など。

講演概要

水原紫苑さん1
水原紫苑さん2

水原さんは、子どもの時に『源氏物語』と『罪と罰』のジュニア版を与えられて読み、作中に描かれた複雑な人間模様や危険な雰囲気を味わったことが強烈な読書体験だったと振り返っています。子どもらしい詩情よりも特殊な世界観に魅かれる傾向があり、以来、近代文学を中心に読書を進めてこられました。

読書を重ねる中で、物語の意味を汲み取るよりも断片的なイメージを捉える能力の高さを認識し、それが短歌の道に進む要因となったと分析されています。しかし、物語の意味がわからないということは、意味にとらわれ過ぎているということでもあると考え、今後は意味から解放されたユーモアのある短歌も作っていきたいとしています。

自らの体験をふまえ、子どもに文学作品のジュニア版を与えることには賛否両論があるが、優れた文学者によるものや、大人版にはない魅力を持つものもあることから、大人版と子ども版は異なるものであるとの考えを示されました。また、子どもへの影響に配慮し、大人版と比較してどこにポイントを置いて構成されているのかを知る必要性も強調されました。

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