10月27日(日)角野栄子さん「魔法はひとつ」(報告)

講演概要

『魔女の宅急便』、「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけ」シリーズなど多数の著書で知られる児童文学作家・角野栄子さんの講演会を開催しました。『魔女の宅急便』の主人公キキについてや、ご自分のブラジル移民の話を絡めながらの講演は進みました。

キキは12歳ですが、それは子どもと大人の境目の年齢だからだそうです。子どもと大人、ファンタジー(魔法)と現実、境界線がまぜこぜになった女の子がキキでした。魔女といいますが、キキはとても可愛い女の子。魔女は世界各国でそれぞれ異なる意味を持っている言葉です。では、キキはどんな魔女なのでしょうか?

キキは豊かな想像力を持つ少女です。たったひとつの魔法とその想像力を駆使して、宅急便のお仕事を通して荷物を送る人・受け取る人の気持ちをくみ取って人と人とをつないでいきます。そうして見えない世界を行ったり来たりして成長する姿こそ、人があるべき姿だとして角野さんは描かれました。

角野さんは講演会の終わりに「誰でもひとつ、魔法が使えます」と言われました。自分が好きなことが見つかったら、大切にして向き合っていくことが大事なのだそうです。また、大人は子どもにこうあってほしいという姿を見せなくてはならない、例えばもし本を読む子に育ってほしいなら、自分がまず本を読む楽しさを子どもに見せる必要があるのだ、とのこと。図書館で働き本と人を繋ぐ仕事をしている私たちにも深く響きました。

角野さん、素敵な講演会をありがとうございました!

日時

2019年10月24日(日曜日)14:00~16:00

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく)3階・多目的ホール

講師

角野栄子さん

東京都に生まれる。早稲田大学教育学部卒業。1959年にブラジルに移住し、2年間滞在。帰国後、サンパウロの少年を描いた『ルイジンニョ少年、ブラジルをたずねて』(1970年ポプラ社)が処女作。その後、童話や絵本の創作を始める。『魔女の宅急便』(1985年福音館書店)で野間児童文芸賞、小学館文学賞、IBBYオナーリスト文学賞などを受賞。ほかにロングセラーの「アッチ・コッチ・ソッチの小さなおばけシリーズ」など著書多数。2000年紫綬褒章、2011年巖谷小波文芸賞、2013年東燃ゼネラル児童文化賞、2014年旭日小綬章、2018年国際アンデルセン賞作家賞、2019年エイボン女性年度賞受賞。

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チラシ

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