11月24日(日)穂村弘さん「言葉の不思議」(えんてらすコレクション)(報告)

告知内容

歌人として現代日本の短歌に新風を巻き起こす他、エッセイや詩、評論、翻訳など多岐にわたる活躍で、幅広い年齢層に支持を得る穂村弘さんにお話を伺います。言葉を紡いで新たな世界の扉を開き続ける、穂村ワールドを覗いてみませんか?

講座概要

穂村さんは歌人としての活動のほか、講評や書評、エッセイ、詩、翻訳、絵本、そして対談など多岐にわたって活躍されています。
また、全国短歌フォーラムin塩尻の司会や選者をされるなど、塩尻市とは深いご縁があります。

冒頭、伴侶のことを指す言葉は様々だけれど、その中で何を使うかでその人のイメージを決定づける、ということを例に取り、人は一言発するだけで、その人の考え方までもが現れてしまうと話され、会場から共感の声が上がりました。
  また、子どもの自由でまっさらな感性から発せられる言葉は詩的であるが、大人は知識や固定観念、価値観などを得ることによって次第に他の世界が見えなくなってくると指摘されました。
 

言葉は社会の中で生きているものであるがゆえに、資本主義によって価値観や言葉までもが一元化されていくことへの危機感にも触れ、その「社会」の外側に広がっている「世界」を言葉にするのが詩であり短歌であると述べられました。
いくつもの具体的な言葉や短歌を例に挙げ、その言葉や歌に込められた世界観を解説していただきました。また、ひとつの言葉を入れ替えたり、順番を入れ替えるだけ詩が発生するということも知ることができました。
もう一つの世界が拡がるという、まさに「言葉の不思議」を目の当たりにし、聴講者からは「おお~」っと、感嘆の声が漏れたほどでした。
ユーモアにあふれつつも本質に迫る、穂村ワールドを満喫できた講演となりました。

今回の講演では、地元の新聞店様のご厚意により、穂村氏が選者を務める歌壇が掲載された日本経済新聞紙が参加者全員に配布されました。

講演会終了後にはサイン会を行いましたが、講演の感想や日ごろの思いのたけを伝える参加の皆さんおひとりおひとりに対して、気さくに話しかけながら短歌を添えてサインしてくださったお姿からも、穂村さんのあたたかなお人柄を感じることができました。

穂村弘さん、ご参加者の皆様、ありがとうございました!

日時

2019年11月24日(日曜日)13:30~15:30

場所

塩尻市北部交流センター(えんてらす)101.102会議室

講師

穂村弘(ほむらひろし)さん

歌人。1962年生まれ。1990年に歌集『シンジケート』でデビュー。短歌のほかに評論、エッセイ、詩、絵本、翻訳等を手がける。『短歌の友人』で伊藤整賞を受賞、『鳥肌が』で講談社エッセイ賞、『水中翼船炎上中』で若山牧水賞を受賞。2015年、NHK全国音楽コンクール(高校の部)課題曲『メイプルシロップ』を作詞。日経新聞歌壇選者。

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チラシ

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