10月19日(土)和田登さん「今、はまみつをを読み解く」(えんてらすコレクション)(報告)

講演概要

塩尻市片丘出身の児童文学作家はまみつをさんについて親友でありライバルだった和田登さんが講演してくださいました。

「はまみつをについて話してくれと言われたら断れないよ」と笑顔で講演が始まりました。

今回は長野市にあった北斗社の若月さんのご厚意により、講演参加者全員に「児童文学の世界」という書籍が配布され、ここに掲載されているはまさんの著作「母ならざる母をえがくこと」を参考にお話はすすみました。

はまさんと母親の間には深い確執があったといいます。幼い頃に母にされたことや、それに対し思ったことなどを、母親が亡くなってもすぐには物語として描けなかったそうです。途中、母親に対する複雑な愛を描いた『しょうがの手』が朗読されました。『しょうがの手』は数年たってやっと物語として形に出来たということ、「事実」と「真実」の違いなど想いをどんな風に物語に結びつけていったのかなどを丁寧に話してくださいました。

はまさんは確かにアウトサイダーであったが、自ら覚悟してそう歩いていたといいます。そうであったからこそ、はずれたようにみえる子にも接し、その子なりの価値観を認めてくれたのではないかと。会場のみなさんにも、それぞれの価値観を胸におきながら自分の立っている地で生きてほしいと語られました。

会場には、はまさんの直筆原稿や和田登さんの著書の挿画を多く手掛ける和田春奈さんの原画が飾られ、とても貴重な空間での講演となりました。ご準備いただいた関係者の方々、ご参加いただいた皆さん、そして和田登さんありがとうございました。

日時

2019年10月19日(土曜日)14:00~16:00

場所

塩尻市北部交流センター(えんてらす)101・102会議室

講師

和田登さん

児童文学作家。1936年、川中島町に生まれる。信大教育学部を経て小学校教師となるも、早期退職。信大教育学部、上田女子短大で児童文学を講じる。在学中より書き継いできた著作はファンタジー、ミステリー、戦争児童文学に至るまで約百冊(共著除く)。代表作「悲しみの砦」「キムの十字架」「想い出のアン」「悲しすぎる夏」。映画化作品「望郷の鐘」等8作。ライフワークは一般教養書「唄の旅人中山晋平」(評伝・岩波書店刊)。はまみつを、は同志でありライバルであった。

和田登さん1
和田登さん2

チラシ

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