12月1日(日)に、詩人で作家のねじめ正一さんをお迎えして講演会を開催しました。

谷川俊太郎さんとの交流や、ご自身の著書への思いなどをお話しいただきました。

講演概要

 直木賞をとった時、真っ先に祝福してくれたのが谷川さんで、その谷川さんを最初にすごい詩人だと思ったのは『ゆうぐれ』を読んだ時。
綺麗な詩もブラックな詩も書ける人だと驚いた。言葉に対する態度、注意、距離感、ほんとうに言葉に油断していないと感じたそうです。
そんな谷川さんも「詩をもう書きたくない」と、ねじめさんにこぼすことがあり、お二人の近しいお付き合いの程がわかりました。

 小説『高円寺純情商店街』では、昭和30年代終わりの普通で当たり前の暮らしを書いているそうです。
自分の記憶ではなく、すべて調べ直して書いた。いちばん書きたかったのはハエ捕り紙が髪についちゃったみたいな細かなこと。上手でもなんでもなく、そんな細部でなりたっている作品だそうです。
それでも「最初から純文学的なところがあるので、人情小説として読んでもらえればそれでいい」ともおっしゃっていました。

 絵本『ゆかしたのワニ』は出版されるまで8年かかったそうです。
絵本は話を作るパワーがいるけど面白い。しかも絵描きさんの力も必要。思った以上の絵がでてこないか楽しみで、その絵の力もあって『高円寺純情商店街』を越した、と思ったそうです。

 「作家の力なんてたいしたことない。応援してくれる人がいると頑張って書ける。ありがたい人生だった、いろんな人とつながって書かしてもらった」と声を震わせる場面もありました。

サイン会の時、参加者から「もう詩や小説は書かないのですか」との問いに、「今は俳句が面白いから」と答えておられました。

日時

2024年12月1日(日) 14:00~16:00

場所

塩尻市保健福祉センター 3階市民交流室

講師

ねじめ 正一(ねじめ しょういち)さん/詩人・作家

1948年生まれ。父は俳人のねじめ正也。阿佐ヶ谷パール商店街で「ねじめ民芸店」を営む。81年に詩集『ふ』で第31回H氏賞を、89年に小説『高円寺純情商店街』で第101回直木賞を、08年小説『荒地の恋』で第3回中央公論文芸賞を、09年小説『商人』で第3回舟橋聖一文学賞を受賞。小説に『長嶋少年』、『認知の母にキッスされ』ほか著書多数。

71c9c19bbe11229a24aa1c0e073ef4a9