講演概要

コロナ禍の今、在宅勤務やオンライン授業など、様々なことが遠隔で成り立つことがわかった。デジタル化・AI化・グローバル化によって我々の暮らしは変わってきたが、この度のコロナ禍がますますこの傾向を加速させている。これからの社会はどう変化していくのか、学校教育はどこに向かっているのか。

2016年に出された中央教育審議会答申では、子供たちに「生きる力」を育むよう学校教育に強く期待している。
しかしコロナ禍も相まって更に予測困難な今の社会では、新学習指導要領が施行されたとはいえ、一体どう実践していけば良いのか途方に暮れる学校も多いのではないか。

まず子供たちに必要なのは「学び方を学ぶ」ということ。今までの教育だと受け身の子供が育ったが、これからは子供たちが学びたくなった時に生涯学習として学び続けられるような力が大切。そのために授業のやり方を変えることが必要となる。

また、教科書の文章やテストの問題文が読み解けていない子供が多いという調査結果がある。どうやって子供たちに読む力をつけるのか。そもそも読書って何だろう?娯楽?情報収集?教養?
読書を再定義してみることも必要である。楽しむための読書も、知識や情報を得る読書も、どちらも「生き方を育てる読書」として大切なのである。

これからは学校教育全体で、学習の基盤となる3つの資質・能力=「言語能力」「情報活用能力」「問題発見・解決能力」を育てていくことが大切。この3つを学校全体で育てていけば、何が起こるかわからない世の中でも、自分で何とかしていける子供に育つ。

参加者からは鎌田さんに、学校司書と司書教諭の連携や協働の方法についてどうやっていけば良いのか等、具体的なアドバイスを求める質問が出ました。
鎌田さんからは「学校長は学校図書館の館長であるため、校務分掌で学校図書館に関わる人員をしっかり配置しなければならない。学校全体が協働することが大事。ある先生だけがやれば良いのではないし、実践が続かないのもダメ。一人ではなく周りを巻き込んで学校図書館を活用していきましょう!」「司書教諭は行政の発令で配置できる。声をあげていきましょう!」などと力強いアドバイスをいただきました。

今回は県立長野図書館と県図書館協会との共催で行われ、初の試みとして、インターネットを利用したリモート配信を使って県立長野図書館でも視聴できるようにしました。えんぱーくと県立長野図書館を合わせて、県内各地の学校関係者など約70人の皆さまにに参加いただきました。

鎌田さんのご自身の体験や実践に基づいた確かな言葉の多くに、授業に役立つヒントはもちろん、勇気づけられた方も多かったのではないでしょうか。鎌田さん、ご参加いただいた多くの皆さま、ありがとうございました!

日時

2020年8月6日(木曜日)14:00~16:00

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく)多目的ホール

講師

鎌田和宏(かまたかずひろ)さん

帝京大学教育学部教授。東京都の公立学校、東京学芸大学附属世田谷小学校、筑波大学附属小学校を経て現職。専門分野は教育方法、社会科教育、情報リテラシー教育。著書に『教室・学校図書館で育てる小学生の情報リテラシー』(2007年 少年写真新聞社)、『入門 情報リテラシーを育てる授業づくり~教室・学校図書館・ネット空間を結んで~』(2016年 少年写真新聞社)、編著書に『先生と司書が選んだ調べるための本 小学校社会科で活用できる学校図書館コレクション』(2008年 少年写真新聞社) 等がある。

鎌田和宏さん1
鎌田和宏さん2
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