伊東さんには、今年10周年を迎えた塩尻市市民交流センター(えんぱーく)が開館するまでの経緯や、中でも塩尻市立図書館が旧図書館からえんぱーく内に移転するにあたり、どんな努力や苦労、喜びがあったのかをお話しいただきました。また、日本のみならず世界中の図書館を巡っていらっしゃる伊東さんが注目する図書館もご紹介いただき、新たな取り組みに挑戦する各地の図書館から良い刺激を得ることもできました。今回は県立長野図書館の他にも「図書館の連携・協力に関する同盟」を結んでいる大和市立図書館と岐阜市立図書館の3館でもリモート配信を使って試聴できるようにし、合わせて90人が聴講しました。

講演概要

えんぱーくが出来たから良い図書館になったね、というのは違う。旧館時代から、所蔵構成を見直し弱点箇所への重点補充を行ったり、地域ならではの資料の重点収集を進めたりする等、資料の基本づくりをしてきた。その基本があるから、本の寺子屋やビジネス支援等、次の展開ができる。基本があるから応用がある。

えんぱーくは複合施設。多様な施設が入る複合施設は課題が多い。しかしプラス思考で考えれば、「連携」よりも更に進んだ「機能融合」という考え方ができる。図書館が他施設と手を取り合い、学習室やPCコーナーを図書館の外に出したり、図書館サポーターさんの活動場所を2階のボランティアルームにしたりする等、えんぱーく内で繫がりが生まれるように配置した。新しく多様なサービスは、新しい利用者(未知のニーズ)を増やし、地域の必要な施設づくりへと繋がる。

全国各地には、新しい図書館の形に挑戦している図書館がたくさんある。「貸出をしない図書館」や「お酒を飲んでも良い図書館」等、目から鱗の取り組みも。それを聞いて「えっ?」と思った方はチャンス。「えっ?」と思うことは自身の固定概念や既成概念のラインが見えたということ。それが見えればその先も見えてくる。自分自身の既成概念を壊すことが大事。

図書館員に特に意識してほしいことは、図書館員が外に目を向け、外に出る、ということ。今までの既成概念からの脱出も、地域の多様な機能や分野との連携も大事。
出来ない言い訳を探すな。えっ?と思ったその時、果たしてそれが自分の限界なのか。そこから何が出来るかを考え行動することが大切だ。
「あなたのMy Library of the Yearを見つけましょう!」
「地域の良い所を一つ見つけましょう!」
毎年一つずつ見つけていくこと。周りを見続ける、ということが大切。

図書館の取り組みや情報をメディアに取り上げてもらったり、内部の仕事を動画にしてHPに載せたりする等、図書館を知ってもらう努力をし続けることも大切だと教えていただきました。参加された皆さんそれぞれに、自分の目標が見えた講演会だったのではないでしょうか。伊東さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

日時

2020年8月24日(月曜日)14:00~16:00

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく)多目的ホール

伊東直登さん1
伊東直登さん2
伊東直登さん3

講師

伊東直登(いとうなおと)さん
元塩尻市市民交流センター長・元塩尻市立図書館長

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