小谷田照代さん講演会「学校図書館の充実と活用」(信州しおじり本の寺子屋 学校職員向け講座)8/3(火)、元静岡県沼津市立静浦小中一貫学校教諭の小谷田照代さんの講演会を開催しました。今回はリモート配信を使って県立長野図書館、岐阜市立図書館、市立小諸図書館、伊那市立図書館でも視聴いただきました。学校職員向け講座ということで、塩尻市内をはじめとする各地の学校図書館関係者や教員の皆さんに御参加いただきました。

講演概要

 大学時代に児童書の面白さと読み聞かせの必要性を知り「子どもと本を繋ぐ大人になろう」と決意された小谷田さん。担任をしていた時代には、毎日子ども達に読み聞かせを行った。その冊数は年間200冊。経験からも、読み聞かせをすると「クラスがまとまる」「保護者も喜ぶ」「学力も上がる」と良い効果が得られることを実感した。その後、担任を外れて学校全体で読み聞かせに取り組むなどの実践を重ね、静浦小中一貫学校時代は専任司書教諭として主に総合的な学習の時間を学級担任とTT(ティームティーチング)で担当した。講演の中では小谷田さんが取り組んできた具体的な事例が次々と紹介された。① 朝読書:「インプットだけではなく、アウトプットの場を作る」ことが大切。そのためには「読書ノート(全国学校図書館協議会作成)」が役立つ。学年が上がるごとにノートに記入する内容を増やしていき、全校で取り組み、全校で定着させることが大切。② ビブリオバトル:本好きの事務職員、校長等、先生がバトラーになって行う。③ 読書会:本を媒介にして子ども達のあらゆる感情を出す場となる。読書会の醍醐味は自分の考えを話せること。共感と意外性。新しい友達の顔を発見することができる。④ 登場人物図鑑:まず人物のつながりを書き、それを紹介する。するとあらすじの紹介が上手になる。講演会中盤では、小谷田さんの元同僚・静浦小中一貫学校の河村先生がzoomで登場され、静浦小中一貫学校の授業の様子を話された。低学年から本になじんでいる静浦小中一貫学校の子ども達は“本に頼ろうとする力”が自然と身についているため、子ども達が持っているChromebook(Googlが開発した「ChomeOS」を搭載したノートパソコン)では答えが見つからない時に、「クロムがダメなら本に行く!」と言って図書室へ本を探しにいく。河村先生は「本はたくさんの人が関わって吟味して作られている。それを管理しているのが学校司書。学校の先生はそれを使うべき。」と熱く語った。小谷田さんは「静浦小中一貫学校では、職員がいつも授業や子ども達について熱く語り合っていた。良い集団だった。」と当時を振り返った。その言葉には、職員同士のコミュニケーションから柔軟な連携が生まれている姿も窺えた。小谷田さんからは「学校図書館を授業で生かすためには、年間指導計画を把握し、年間の学習の予定を知ることが大切。どこでどんな本が必要か、教育課程上で図書館の本を利用することを可視化すること。加えて、自校のグランドデザインの中に学校図書館の記述があるかどうか、学校図書館の全体計画を作ることも重要。」と教えていただいた。最後に、「山好きで、長野県が好きだから移住までしてしまった。安曇野市にいるからいつでも皆さんの力になりたい。何でも聞いてください!」と小谷田さんから嬉しい言葉をいただきました。司書教諭と学校司書の協働をはじめ、学校全体が一つになり学校図書館運営を考えていくことの大切さを改めて学ぶことができた講演会でした。小谷田さん、御参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

日時

2021年8月3日(火曜日)14:00~16:00

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく)多目的ホール

講師

小谷田 照代(こやた てるよ)さん
元静岡県沼津市立静浦小中一貫校 教諭

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