3月6日(日)内藤いづみさん「あなたらしく生きぬくために準備すること」(えんてらすコレクション)(報告)

3/6(日)に在宅ホスピス医の先駆者で、山梨県甲府市のふじ内科クリニック医院長内藤いづみ先生の講演会を開催しました。スライドを見ながら数々のご経験を話してくださいました。

講演概要

今回対面で講演できとてもうれしい。平和が世界に訪れますようにと祈りながら話したい。

読書から感じた人間共通の苦しみ、辛さに寄り添って学べるのは医学だと思った。読む、書く、教える、話すことが好き、永六輔さんという師匠も得て今ここにいる。

東京で研修医だった時、苦しみ、悲しみ、辛さは皆同じだとわかった。

三十何年前、病気のことを何も知らず闘病しているがん末期の子がもし私の妹だったら一番の愛情は何だろうと考えた。本当のことを伝えることだと思った。一番の望みは、家に帰ることだった。苦しみを緩和し、24時間責任を持つという約束で私が付き添い家に帰り100日を過ごすことができた。これが私にとって大きな転換となった。母親とは今も交流がある。残された人とのご縁はつながる。えんてらす。縁をすごく大事に思う。

私の3人の「命の師匠」はソーシャルワーカーから看護師に、そして医者となり、ホスピスケアの世界を変えたシシリー・ソンダース。世界で初めて生と死の医学を開いた「死ぬ瞬間」の著者で精神科医のキューブラ・ロス。今の環境問題を一番最初に提言した科学者「沈黙の春」の著者レイチェルカーソンである。

「人間が生きるってこういうことかしら?」という最新刊の対談相手、中村桂子先生もおっしゃるとおり命は時間である。皆さんがどう自覚するかが大事だと思う。

読書によりいろんな思いがあるということを小さな時から学ぶ。「いい塩梅」とは「どっちつかずだけどいい着地で」という人間だからこその選択肢である。だから読書は人間の最後の砦である。

今の命を見つめるために作った『いい塩梅ノート』は家族が知らない今の人間環境を書くことが大事。そして、自分に代わって決断してくれる家族のリーダーを決めておくこと。家族、友達のサポートでその人の人生は深いものになる。 人生の最期に木喰上人作の仏像のような笑顔なら最高の人生。私の患者さんもみんないい笑顔。『ふたりはともだち』は心温まるいい本。友達の絵本作家、内田麟太郎さんは自身のたくさんの辛い経験があるから私たちの心に届く。最後に麟太郎さんが乗り越えてきた時のおまじないの詩を一緒に朗読。「おまじない、寂しいときのおまじない・・・」これでみなさん元気になった。「老いを止めることはできないが、ゆっくり老いていきましょう。今日はありがとうございました。」

先生が参加者にプレゼントしてくださった『いい塩梅ノート』。改めて自分を見つめ、楽しみながらゆっくり埋めていきたいと思います。内藤先生、命の大切なお話をありがとうございました。また参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

内藤いづみ氏

日時

2022年3月6日(日曜日)14:00~16:00

場所

塩尻市北部交流センター(えんてらす)101・102会議室

講師

内藤いづみさん

昭和56年福島県立医科大学を卒業。昭和61年から平成3年まで留学先の英国でホスピスの研修を受ける。平成7年に山梨県甲府市にふじ内科クリニックを開業し、現在に至る。在宅ホスピス医の先駆者であり、現在も日々いのちと向き合いながら患者や家族に寄り添うホスピスケアを実践している。講演会やテレビ、ラジオ、執筆活動など幅広く活動。現在、ホスピス・在宅ケア研究会やまなし代表、やまなし大使、大正大学客員教授。著書「死ぬときに後悔しない生き方(総合法令出版)」ほか多数。

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