10月17日、日本におけるSETI (地球外知的生命探査)の第一人者であり、東御市出身で兵庫県立大学西はりま天文台天文科学専門員の鳴沢真也さんの講演会を開催しました。
今回の本の寺子屋は「えんてらす」開催でしたが、多くの方に参加していただきました。

講演概要

 講演会冒頭、鳴沢さんは「人間は特別なものなのか。人間の未来はどうなっているのか。みなさんも人生の中でこういう疑問を感じたことはあると思います。この哲学的な疑問を、地球以外の星にも私たちと同じような存在がいるのか科学的なアプローチで確かめる必要があると私は考えます。」そう語り始めました。「地球外知的生命が必ずどこかに存在すると考えている。その理由は星の数。世界中の海岸の砂粒の数より星の数の方が多いのだから」と鳴沢さんは強くおっしゃいました。

 鳴沢さんは「地球外生命体がどんな姿形をしているかはまだわからない。環境にあった姿かたちをしているはずで、地球に似た環境の惑星であれば人間と似ているかもしれない。」とおっしゃいました。「ただ、医学、遺伝子の技術が向上して、自分の好きなように肉体を改造する時代がくれば、姿形は意味のないものになる。サイボーグや不老不死、そんな時代も目の前に来ていて、こうなると我々は情報の生命となってしまう。知的生命を発見しようとすれば、こういうチップの中の情報に見つかるのかもしれない。」ともおっしゃいました。

 「太陽系の中に知的生命はいません。天の川銀河のどこかには存在するかもしれませんが、かなり珍しいでしょう。我々知的生命はレアな存在です。無数の偶然の中で生まれ、皆さん一人一人が貴重な存在なのです。
大きな宇宙にたくさんの星があり、その中の小さな星の一つが地球です。そこに生物学的には同じ人間が住んでいる。 今まで、星や宇宙は見上げる対象だったかもしれません。今日からは視点を変えて宇宙飛行士のように宇宙へ飛び出して地球を見るような、また皆さんが宇宙人になったつもりでこの小さい惑星に住んでいる同じ人間が何をしているんだろうと考え直すきっかけになってもらえればと思います。」鳴沢さんは最後にそう締めくくられました。

日時

2021年10月17日(日) 14:00~16:00

場所

塩尻市北部交流センター(えんてらす) 1階101・102会議室

講師

鳴沢真也(なるさわ しんや) 兵庫県立大学天文科学専門員、理学博士。

1965年長野県生まれ。福島大学卒、同大学院修了。広島大学で博士号取得。専門は天体物理学及びSETI(地球外知的生命探査)。全国同時及び世界合同地球外知的生命探査委員長。国際天文学連合会員。 
主な著書に『137億光年のヒトミ』(そうえん社)、『ぼくが宇宙人をさがす理由』(旬報社)(第59回読書感想文全国コンクール課題図書)、『宇宙人の探し方 地球外知的生命探査の科学とロマン』(幻冬舎)、『へんな星たち』(講談社)、『連星からみた宇宙 超新星からブラックホール、重力波まで』(講談社)がある。

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