2023年5月28日(日)、塩尻市北部交流センター(えんてらす)で紀行作家の斉藤政喜さんの講演会を行いました。

講演概要

 斉藤さんは現在、八ヶ岳の麓で奥様、愛犬のセンポと愛猫のハチと共に暮らしています。自転車や徒歩、また、犬連れバックパッカーとして各地を巡り、数日前までスーパーカブで290km、3.4ℓ無給油を目標に旅していたそうです。ご自身を、本を書く・自分で家を作るという二つの意味で「作家」と紹介してくださいました。

 かまどでご飯を炊き、山道を歩いて通学した幼少期。実家に下宿していたS木先生のプライベートに憧れ、今のオートバイの旅につながっている。

 当時住んでいた村から松本市街近郊に引っ越し、より世界が広がった。高校時代、人と違うことを目指して好きなことをやらなければと思いつつ、将来について考え始める。そんな矢先、家業が潰れて家族離れ離れに。新聞奨学生制度で予備校に通うため上京した時、人はボストンバック一つで生きていけることを実感する。実家をなくし、住所欄が空白の卒業アルバム。不幸の反面、自由を感じた。人と違う自分でありたいと思い、未来が拓けた。その後、特別奨学金でオートバイ、テントと寝泊まりの道具を買い、日本各地、オーストラリアに旅に出た。この経験を伝えるため教員を目指すが、教育実習でこの想いは燃え尽きた。もっとどでかいことをしよう。

 そんな折、バイト先でゴムボートをもらう。揚子江を渡ろうと考えたが、ボートに穴が空いていて使えず。メーカーに提供依頼の手紙を書いた。旅の記事を雑誌に載せることを条件に提供を受けた。それが、現在も続く小学館『BE-PAL』編集長との出会いであった。「君は旅をして、それを書く作家になれる」という編集長の言葉と裏腹に執筆に夢中になるあまり自分が旅に出ていないと気付く。そして道の終わり(エベレストのベースキャンプ)まで自転車を担いで旅をした。帰国後、『BE-PAL』から連載の提案をいただいた。この時、インパクトのある名前がいいと山岳ガイドの代名詞であるシェルパから「シェルパ斉藤」と名付けられた。

 ライターはペンと紙があればできる反面、それを生業にするのは難しい。自分は実際に旅に出ているから書くことができる。旅は人生と同じだ。思い通りにならないことがたくさんある。それを楽しみ、対応していくことが生きること。自分は本を書いていることを自負している。33年間、35冊。楽しんで書いている。デジタル図書を読むこともあるが、紙の本を作る身からすると、本は全て計算の上で作られている。めくる楽しみがデジタルと最も違うところ。「本」ていいもんだよ。

 この後、参加者の質問にも答えてくださいました。写真とともに話してくださり、一緒に旅に出たようなとても楽しい講演会でした。

日時

2023年5月28日(日曜日)14時00分から16時00分

場所

塩尻市市民北部交流センター(えんてらす)1階 101・102会議室

講師紹介

斉藤政喜さん

1961年松本市出身。地球を歩く紀行作家。学生時代に揚子江を単独で下ったことがきっかけで、フリーランスの物書きになる。1990年に東海自然歩道を踏破する紀行文を雑誌『BE-PAL』に連載。ネパール帰りであり、読者を歩く旅にいざなうことから、山岳ガイドの代名詞である『シェルパ』を冠したシェルパ斉藤になる。以降、アウトドア雑誌を中心に紀行エッセイを30年以上連載中。1995年に東京から八ヶ岳山麓に移住し、自らの手で家をつくり、火を中心とした自己完結型の田舎暮らしを楽しむ。季節ごとに国内のトレイルを歩き、年に1度のペースで海外のロングトレイルも歩くが、バックパッキング以外にも自転車、オートバイ、ヒッチハイク、耕うん機による日本縦縦なども楽しむ自由型の旅人。著書に『シェルパ斉藤の行きあたりばっ旅1~5』(小学館文庫)、『犬連れバックパッカー』(新潮文庫)、『東方見便録』(文春文庫)、『シェルパ斉藤の遊歩見聞録』(小学館)、『シェルパ斉藤の親子旅20年物語』(産業編集センター)など、著作は30冊を超える。最新刊は『市民タイムス』の人気連載をまとめた『あのとき僕は シェルパ斉藤の青春記』(しなのき書房)。

講演写真

ポスター

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