1月21日(日)、絵本作家のいわいとしおさんの講演会を開催しました。
講演要旨
子どもの頃は田舎に暮らしていたといういわいさん。スライドで3歳頃に3人のお姉さんと一緒に描いたという「落書き」を見せてくださいました。この頃から人を喜ばせる絵を描きたかった、それが創作の原点ともおっしゃっていました。
誕生日プレゼントにもらった昆虫図鑑をきっかけに図鑑マニアになり、視力が落ちてしまうほどのめりこんだそうです。
いわいさんが小学2、3年生の頃、お母様から「もうおもちゃは買いません。ほしかったら自分で作りなさい」とおもちゃの作り方の本をもらったそうです。最初はしぶしぶだったそうですが、お父様と一緒に工作をするうちに面白くなり、自作の工作ブックを作るまでになったそうです。この工作ブックを作っていたのが小学4、5年生の頃で、これが最初の本作りだったのではないかとおっしゃっていました。
その後中学、高校と一度は漫画家を目指したものの、安野光雅さんの『旅の絵本』をきっかけに絵本への興味を深めていったようです。
2000年に娘さんが生まれ、父として子どものために何かしたいと思ったそうです。ある日手足が動かせるようにした紙人形を作ったところ、急に娘さんが自分から遊び始めたそうです。後にリベットくんと呼ぶようになった、ペンギンなどの紙人形で娘さんと時間を忘れてお話を作ったとおっしゃっていました。その様子が以前テレビで紹介されたときの映像を流して見せてくださいました。
『100かいだてのいえ』を描くことになったきっかけは娘さんが数字の数え方でつまずいたこと。そんなときに偕成社の編集の方に絵本を描いてみませんかと言われ、制作に取りかかりました。試行錯誤の末に完成した『100かいだてのいえ』は反響を呼び、2冊目は1冊目と対になるようにした『ちか100かいだてのいえ』になりました。シリーズとして認識され、3冊目を希望する投書がたくさんきたことがきっかけで『うみの100かいだてのいえ』ができたそうです。
自分なりの100かいだてのいえを描こうと投書箱を設置したところ大好評で、それを見て絵本って一方通行じゃないんだと感じ、娘さんとやっていたことを全国的にできると積極的にワークショップをやるようになったそうです。
最後に、絵本はただの読み物として終わらない、子どもたちに作る楽しさを伝えたいとおっしゃっていました。
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いわいさん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。
日時
2024年1月21日(日)14:00~16:00
場所
塩尻市市民交流センター(えんぱーく) 3階多目的ホール
講師
岩井 俊雄(いわい としお)さん
1962年生まれ。絵本作家/メディアアーティスト。子どもの頃に母親から工作の道具や材料を与えられたことからものづくりに目覚める。1985年、筑波大学芸術専門学群在学中に第17回現代日本美術展大賞を最年少で受賞。著書に『いわいさんちへようこそ!』、「いわいさんちのどっちが? 絵本」シリーズ(全3冊)、(紀伊國屋書店)、『アイデアはどこからやってくる?』(河出書房新社)、『ゆびさきちゃんのだいぼうけん』(白泉社)、『ぼく、ドジオ。』(小学館)、「100かいだてのいえ」シリーズ(偕成社)などがある。