2023年10月8日(日)に、絵本作家の真珠まりこさんの講演会を開催しました。

講演概要

『もったいないばあさんと絵本の話』 真珠まりこ氏

もったいないばあさんは、息子が4歳の時に「もったいないってどういう意味?」と聞かれたことがきっかけで作りました。物が壊れても、修理するより買う方が安いものがたくさんある今の時代、もしかしたら子どもたちが「もったいない」という意味を理解するのは難しいのかもしれない。もったいないと思うこと、物を大切にすることを知らないままの大人が増えたら社会はどうなるんだろう、と怖くなりました。だから、大切なことはきちんと伝えていかないと、と思いました。

もったいないばあさん が「もったいない」と言う時は、それを大切に思う気持ち、自然の恵み、いただく命、作ってくれた人への感謝の気持ちからであって、ケチで言ってるのではないんです。ケチは執着、自分だけのもの。だけど、もったいないばあさんは良いものは分け合った方が楽しいと思っています。もったいないには愛がある、と思うのです。

もったいないばあさんのワールドレポート展は、いま地球で何が起きているのか、それらの問題が日本の私たちとどう繋がっているのかを伝える展示会です。いま地球で起きている問題はすべて、命を一番に考えていたら起きなかったと思うことばかり。命の大切さを伝える「もったいない」と言う言葉と、もったいないばあさんのメッセージと伝えたらわかりやすいのではと思い、始めました。この展示会でお伝えしているもったいないばあさんからのメッセージの中でとくに大事なのは、

「自分さえ良ければと思わず、分け合う気持ちがあれば平和な世界ができる」「命は全てつながっていて、ひとつひとつの命が大切なんじゃよ」という2つのメッセージです。この2つは、もったいないばあさんシリーズの本全てに流れている筋のようなものだと思っています。

インドで、もったいないばあさんの本を使って子供たちに環境教育を、というプロジェクトがあり、インドの子供たちに話をする機会がありました。「みんなが毎日食べているものは自然の恵み、生きているものの命。私たちは命をいただいて生きている。それが自然に感謝して、大切にする理由だと思う」というと、インドの子供たちもわかってくれたようです。そして、「みんなインドすき?」と聞くと、「イエーイ!大好き!」と返事をしてくれて、「みんなが大好きな国をこれからも誇りに思えるように、自然と環境を大切にしてね」と話を結びました。自分の町、国を好きになる、誇りに思うことはとても大切。その気持ちがSDGsにつながっていくと思うのです。

もったいないばあさんの本を作るうちに、私は、日本はすばらしい国だと思うようになりました。日本の子供たちにも、自分の住む町、自分の国が大好きだと思ってほしい。もったいないばあさんは、日本の良さを伝えるおばあちゃんでもありたいと思います。

その他にも著書についての秘話や『もったいないばあさん』の新作についても話してくだいました。製作風景の写真も見せてくださり貴重な講演でした。

最後に「もったいないばあさんの絵描き歌」と「もったいないばあさん音頭」を会場の皆さんと楽しみました。

真珠まりこさん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

日時

2023年10月8日(日) 10:00~12:00

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく) 多目的ホール

講師

真珠 まりこ(しんじゅ まりこ)さん

絵本作家。神戸生まれ。大阪とニューヨークのデザイン学校で、絵本制作を学ぶ。
はじめての絵本『A Pumpkin Story』は、1998年にアメリカで出版された(Greene Bark Press,USA)。
2004年に講談社から出版の絵本『もったいないばあさん』でけんぶち絵本の里大賞、ようちえん絵本大賞を受賞。
他の作品に、『おべんとうバス』『おたからパン』(以上ひさかたチャイルド)、『よみもの・なないろどうわ』(アリス館)、『おつきさまのパンケーキ』(ほるぷ出版)などがある。

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