2023年7月23日(日)に、女性学、ジェンダー研究のパイオニアである上野千鶴子さんの講演会を開催しました。

講演概要

*****************講演内容(抜粋)******************

 上野さんは男の子のための本はたくさんあるが女の子ための本はほとんどないと言い、2冊の本を紹介してくださいました。

『君たちはどう生きるか』吉野源三郎著/ポプラ社

『エミール』ジャン・ジャック・ルソー著/岩波書店

 2冊とも名著だが男の子にあてはまる内容で、女の子にはあまり役に立たないといいます。

 女性の進学率にも触れ、子どもが複数人いると親は教育投資の傾斜配分をするそうです。回収できる投資を考えるため、いずれお嫁に行ってしまい家を出てしまう女の子には学費をかけず男の子に投資する傾向が、今でもあるそうです。

 世の中には隠れたカリキュラムが存在し、男がリーダー、女が後をついていくという姿を小さい頃から見せられています。そのためAspirationのCooling out(達成欲求の冷却効果)が起きてしまい女性は自己肯定感が低くなってしまう。逆に男性は自分を大きく見せる傾向があるそうです。

 しかし、ずっと我慢させられてきた女性ですが大きな力はなくても少しずつ社会を変えてきました。自分が我慢させられたことを次の世代の女性に同じ思いをしてほしくないと行動を起こしてきました。

 上野さんの「被害者になってほしくないが加害者にもならないでほしい。そして傍観者にもならないで欲しい。」という言葉が印象に残りました。自分が我慢して飲み込んできたことが次の被害者を生み自分を加害者に変えていくのです。

 最後に、今の社会は弱みを見せられない社会になっている。若い子たちには弱さを認め支えあって生きてほしい。「困った」「助けて」と言える力、そして助けてと言った時に支えてくれる人たちの存在が一番大事だといいます。弱者が弱者のままで尊重される社会を作っていきたいと締めくくりました。

 次の世代のために自分が声を上げていくことが大切だと感じた講演会でした。

 上野千鶴子さん、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

日時

2023年7月23日(日曜日)14時00分から16時00分

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく)3階 多目的ホール

講師紹介

上野千鶴子さん

社会学者・東京大学名誉教授・認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長 京都大学大学院社会学博士課程修了。社会学博士。専門は女性学、ジェンダー研究。高齢者の介護とケアも研究テーマとしている。『おひとりさまの老後』『ケアの社会学』『女ぎらい ニッポンのミソジニー』など著書多数。近刊に『女の子はどう生きるか、教えて!上野先生』『在宅ひとり死のススメ』『フェミニズムがひらいた道』、最新刊に『上野千鶴子がもっと文学を社会学する』。

講演写真

ポスター

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