2023年1月29日(日)、絵本作家で大の釣り好きの村上康成さんによる講演会を行いました。
ご自身の作品づくりのお話のほか、読み聞かせやウクレレの演奏など、今年度の信州しおじり本の寺子屋の大トリにふさわしく、盛りだくさんの会になりました。

講演概要

 村上さんは昨年、初の児童文学となる『黄色い竜』を執筆されました。児童文学を書きたいと思ったきっかけは「ガマの穂」。コロナ架で遠くに行けないため、お孫さんと自転車で地元をくまなく散策していた時に、川辺で見つけたガマの穂をきっかけに起こったエピソードから「ガマの穂で何か書きたい」と思い、執筆に向かったそうです。ですが、自分は絵描き。文章はド素人。書きたい気持ちで向かっても全く書けない、という状況が続いたといいます。何とか一行書き出すと、あとはスラスラ書けて書き終わりにさしかかったころには寂しくなってしまったそうです。そんな思い入れのある『黄色い竜』のほか『おじさんとすべりだい』『きぜつライオン』『水ぎわの珍プレー』『石のきもち』『まっている。』をとりあげ、それぞれの思いを紹介してくださいました。

 今年はデビュー作の絵本『ピンク、ぺっこん』が出版されて40年経ちますが、デビューまでには大変な苦労があったといいます。当時、いくつもの出版社に売り込みをしてもなかなかうまくいかず、世間の厳しさを感じては、テントと釣り竿をもって近くの川で釣りをして慰めていたそうです。そんな時に出版社からヤマメの本を書いてみないかと打診があり、デビュー作につながったそうです。そもそも絵本作家を目指したきっかけは、学生時代にであった、谷内こうた 著『のらいぬ』だったそうです。この作品を見て衝撃を受け「絵本ってスゴイ!書きたい!!」と思ったそうです。

 絵本を愉しむとはどういうことなのか。村上さんは「なんか面白い」感覚が大事だといいます。「現在は何でも答えを求めすぎている。文章や絵で描かれた先の先を考えながら読んでほしい。文字を読んでどれだけイメージを膨らませられるかは、その人個人の読み取るだけの基礎体力の問題。若いときに読んで面白くないものが、歳を取ったときに面白く感じる事があるが、それは読み取る基礎体力がついたからかもしれない。」そうおっしゃっていました。また世の中が保育の絵本に比重がかかりすぎていることも問題視されていました。読んで「なんか楽しい」と思う感覚を大事に、その時その年齢で出会えるものがあったらいい、そうおっしゃっていました。

日時

2023年1月29日(日) 14:00~16:00

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく) 多目的ホール

講師

村上 康成(むらかみ やすなり)さん

1955年、岐阜県生まれ。創作絵本をはじめ、ワイルドライフ・アート、オリジナルグッズ、エッセイ、タブローなどで独自の世界を展開する、自然派アーティスト。
『ピンクとスノーじいさん』『プレゼント』『ようこそ森へ』でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。『ピンク! パール!』でブラチスラバ世界絵本原画展金牌を受賞。『なつのいけ』で日本絵本賞大賞を受賞。ほかにも『水ぎわの珍プレー』『さかなつりにいこう!』『石のきもち』『まっている。』など多数ある。伊豆高原と石垣島に絵本ギャラリーがある。

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