5月22日(日)に写真家・映画監督の本橋成一さん、聞き手にチェルノブイリ連帯基金事務局長の神谷さだ子さんをお迎えし対談形式の講演会を開催しました。本橋さんの作品を見ながら、取材当時のエピソードを軸に対談していただきました。

講演概要

 チェルノブイリ原子力発電所の事故後に訪れた土地では、原子炉をおおう石棺という建造物に草が生えていた。こんな放射能の一番強いところに植物が生きていて、命はすごいと思うと同時に人間がこんなことをやってしまう、なんてことだろうと思ったそうです。そこからまた原点に戻って、写真を撮ったといいます。
 また強制移住地区で暮らすサマショールと呼ばれる人の一人、アルカジイ・ナボーキンさんに、ある時「どうしてこの村から出ていかないのか」と聞くとキョトンとした顔で「お前はなぜそんなことを聞くんだ」と質問を返され、「人間が汚した土地だろ、どこに行けっていうんだ」と言われたそうです。その言葉で、映画を撮ろうと思ったとのこと。日本に帰国し、撮影隊を組んで三か月後村へ戻ったらナボーキンさんの姿はなく、牛泥棒に殺されたという新聞の記事を見て映画を撮るのは諦めかけたが、彼の言葉が心に残っていて「ナージャの村」、二作目に「アレクセイの泉」という映画を撮ることができたといいます。

 そのほかにも、今回の講演会のチラシにも使われた兄弟と出会った「炭鉱(やま)」という写真集の取材時のこと、作家の上野英信さんとのお話や「アラヤシキの住人たち」で取材したかやぶき屋根のアラヤシキで暮らす愉快な人々、絵本作家のスズキコージさんとコラボした作品についてのエピソードをお話しいただきました。

 ウクライナについても触れ、神谷さんは今爆撃を避けて逃げる人たちのどこに、落ち着く先や在り処があるのか、8200km離れた日本でもできることがあるとメッセージを伝えられました。本橋さんは、「地球は一つ、人類みな兄弟」という言葉があるが仕事で外国に行って皆バラバラだと気付いたそうです。風土も食べるものも違う、大切なことは相手が何を思っているかをうんと想像すること、そのほうが平和につながるのではないか、「世界はたくさん、人類はみな他人」だと思っていると語られました。

日時

2022年5月25日(日) 14:00~16:00

場所

塩尻市北部交流センター(えんてらす) 101・102会議室

講師

本橋 成一 (もとはし せいいち)さん

写真家、映画監督。九州・北海道の炭鉱の人々を撮った作品『炭鉱<ヤマ>』で、1968年第5回太陽賞受賞。以後、サーカス、上野駅、築地魚河岸、大衆芸能など、市井の人々の生きざまに惹かれ写真を撮り続ける。映画監督作品にチェルノブイリ原発事故の被災地で暮らす人々を撮影した『ナージャの村』『アレクセイと泉』など作品多数。写真集に『屠場』、『上野駅の幕間』(平凡社)、『在り処』(NOHARA)。写真絵本に『アレクセイと泉のはなし』(アリス館)、『うちは精肉店』(農文協)など。1998年、写真集『ナージャの村』で第17回土門拳賞を受賞。

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