6月26日(日)、江戸文学・江戸文化研究家であり、法政大学名誉教授、前総長である田中優子さんの講演会を開催しました。
素敵なお召し物で登壇した田中優子さんは江戸の本の特徴や魅力について資料を基にお話ししてくださいました。

講演概要

 初めに田中さんは、江戸の本がどんな本なのかを説明してくださいました。江戸時代の書籍というのは、ほとんど絵本と言ってもいいほど絵が描かれているものが多かったそうです。そんな中でも文字だけで書かれた本は『物の本』と呼ばれており、本の種類と業界が分けられていたとお話されました。
 田中さんは、江戸時代の本について話す中で、江戸時代の“本屋”についても触れてくださいました。江戸の本屋は扱う本によっても呼び名が変わり、浮世絵などの娯楽的な書物を扱う本屋を「絵双紙屋」。学術書などを扱う本屋を「書物屋」と呼んでいたそうです。また当時の本屋には「貸本屋」と呼ばれる本の貸出しを生業としている本屋もあり、一口で本屋と言ってもたくさんの種類があることを教えてくださいました。
 最後に田中さんは、江戸という時代は、出版が生まれ、本に登場する人物として、本の世界を生きる人たちがいるという考えが生まれ始めた時代だったと話し、アジア全体に読書という習慣が根付き始め、現在の読書を楽しむことに繋がっているとおっしゃっていました。

日時

2022年6月26日(日) 14:00~16:00

場所

塩尻市市民交流センター(えんぱーく) 多目的ホール

講師

田中 優子(たなか ゆうこ)さん

法政大学社会学部教授、社会学部長、総長を歴任。専門は日本近世文化・アジア比較文化。研究領域は、江戸時代の文学、美術、生活文化。『江戸の想像力』で芸術選奨文部大臣新人賞、『江戸百夢』で芸術選奨文部科学大臣賞・サントリー学芸賞。その他著書多数。2005年度紫綬褒章。江戸時代の価値観、視点、持続可能社会のシステムから、現代の問題に言及することも多い。法政大学江戸東京研究センター特任教授でもある。

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