6月27日(月)、札幌市図書・情報館を創った淺野隆夫さんの講演会を開催しました。
講演概要
札幌市図書・情報館は「はたらくをらくにする」をコンセプトに課題解決に的を絞り、本の貸出を行わないなどのユニークな運営をしている図書館です。ライブラリーオブザイヤー2019の大賞を受賞した図書館でもあります。そんな札幌市図書・情報館の事例をもとに、図書館サービスの在り方やこれからの図書館に求められることなどを話してくださいました。
図書館員は「レファレンス」や「課題解決」という言葉を使いますが、何をどこまで解決できるのか日々悩むところではあります。それに対して淺野さんは、司書の仕事は利用者自身がぼんやりとしている問題に対して課題を明確化させることであるといいます。今、何に悩んでいるか、解決のために何が必要なのかなど、課題が明確になればあとは専門家につなぐことができます。札幌市図書・情報館での本の並べ方も、大きなテーマの見出しから、より具体的で細かい問題提起を起こすような見出しをつけた「課題別の並び」になっていて、司書に直接、調べ物をお願いしなくても、こうした棚の本を見るだけで自分の課題がクリアになるといいます。
淺野さんから発せられる言葉は司書としてとても励みになることが多く、また、モチベーションにつながるものでした。
・ターゲットを絞ることで、良質なサービスが提供できる
・「ない」ことをおそれない、「ない」ことからブランディングがうまれる
・本来の司書の業務をするために、秒単位で業務の効率化を目指す!
・図書館は本棚で勝負しないといけない。迷ったら「この棚で自分の友達を呼べるか」考えてみる
・必要なのはセンスとスキル
・一人ひとりを大切に―塩尻の人のことを考えて。そして自分のことも大切にする
今回の本の寺子屋は図書館員向け講座であり、当館職員の研修の位置づけでもありました。淺野さんのさまざまな話を当館職員がどう受け取り、実行していくのか期待していただきたいと思います。
日時
2022年6月27日(月) 14:00~16:00
場所
塩尻市市民交流センター(えんぱーく) 多目的ホール
講師
淺野 隆夫(あさの たかお)さん
1966年生まれ。札幌市役所で地域情報化の担当者を経て、 2010年に図書館に異動。2014年に「札幌市電子図書館」を立ち上げる。2018年にはコンセプトづくりから手がけた「札幌市図書・情報館」の初代館長となる。2021年からはこれまで手がけた事業を含め、中央図書館のサービスを統括。
また、2020年からは総務省地域情報化アドバイザーとして全国の新図書館の立ち上げにも参画している。